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確定給付企業年金の財政計算等に係る特例的扱いについて

年発第0911001号

確定給付企業年金の財政計算等に係る特例的扱いについて

平成20年9月11日年発第0911001号 厚生労働省年金局長から地方厚生(支)局長あて通知

改正 平成24年1月31日年発0131第1号 〃 平成28年6月30日年発0630第1号 〃 平成28年12月14日年発1214第1号 〃 令和元年12月27日年発1227第3号 〃 令和3年8月2日年発0802第2号

※「公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成25年法律第63号)」の施行に伴い、「公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う通知等の取扱いについて(平成26年3月24日年発0324第2号)」の(別添2)の例をもとに読み替えて適用するとともに、改正によって廃止された法令に基づいて規定されている事項は、その効力を有さないこととなっています。

確定給付企業年金法施行規則(平成14年厚生労働省令第22号)第44条、第46条、第46条の2、第46条の3及び第59条に係る特例的扱い並びに第87条の2、第88条の2及び第98条の2に基づく取扱いについて、下記のとおり定めたので、貴管下の確定給付企業年金の事業主等の指導について、遺憾のないよう配慮されたい。

第1 趣旨

2以上の厚生年金適用事業所の事業主が共同で確定給付企業年金を実施する場合においては、財政責任の明確化及び財政基盤の安定化の観点から、掛金については、各実施事業所(確定給付企業年金法(平成13年法律第50号)第4条に規定する「実施事業所」をいう。以下同じ。)が一律に負担することを原則としているが、実施事業所が増加する場合又は一部の実施事業所が異なる給付区分を設ける場合等については、増加した実施事業所とそれ以外の実施事業所との間又は各給付区分の状況を勘案した掛金等の特例的扱いを認めることとしたこと。

第2 用語の定義

 (1) 法

  確定給付企業年金法(平成13年法律第50号)をいう。

(2) 令

  確定給付企業年金法施行令(平成13年政令第424号)をいう。

 (3) 規則

  確定給付企業年金法施行規則(平成14年厚生労働省令第22号)をいう。

 (4) 掛金

  法第55条第1項に規定する掛金のうち年金経理から支出される費用に充てるためのものをいう。

 (5) 標準掛金

  規則第45条第2項に規定する標準掛金額に相当する掛金をいう。

 (6) 補足掛金

  規則第45条第3項に規定する補足掛金額に相当する掛金であって、次の①~③に定めるところにより算定したものをいう。

  ① 特別掛金

   規則第46条に定めるところにより算定した掛金をいう。

  ② リスク対応掛金

   規則第46条の2に定めるところにより算定した掛金をいう。

  ③ 特例掛金

   規則第44条に定めるところにより算定した掛金をいう。

 (7) リスク分担型企業年金

  規則第1条第3号に規定するリスク分担型企業年金をいう。

 (8) リスク分担型企業年金掛金

  規則第45条第4項に規定するリスク分担型企業年金掛金額に相当する掛金をいう。

 (9) 財政検証

  法第60条、第61条、第62条及び第64条に基づき、毎事業年度の決算において、当該事業年度末の積立金及び給付債務の推計等に照らし、財政運営の健全性について検証することをいう。

 (10) 財政計算

  規則第24条の3第1号イ(1)に規定する財政計算をいう。

 (11) 基準日

  規則第49条及び規則第57条第1項に規定する計算基準日をいう。

 (12) 純資産額

  年金経理において、流動資産及び固定資産(時価)の合計額から、流動負債及び支払備金の合計額を控除した額をいう。

 (13) 数理的評価

  積立金の額の評価を、規則第48条第1項第2号又は第3号の方法により行うことをいう。

 (14) 資産評価調整加算(控除)額

  年金経理に属する固定資産の財政運営上の評価額が当該固定資産の時価を上回る

(下回る)場合において、その上回る(下回る)額をいう。

 (15) 数理上資産額

  年金経理において、純資産額と資産評価調整加算額の合計額から、資産評価調整控除額を控除した額をいう。

 (16) 通常予測給付現価

  規則第43条の規定に基づき計算した規則第4条第3項に規定する通常予測給付額の現価に相当する額(規則第44条に基づく次回の財政再計算までに発生する積立不足の予想額の現価を加算している場合には、当該予想額の現価を含む額とする。)をいう。

 (17) 標準掛金収入現価

  標準掛金額の予想額の現価に相当する額をいう。

 (18) 補足掛金収入現価

  補足掛金額の予想額の現価に相当する額をいう。補足掛金収入現価は、次の①から③までに分類される。

  ① 特別掛金収入現価

   特別掛金額の予想額の現価に相当する額をいう。

  ② リスク対応掛金収入現価

   リスク対応掛金額の予想額の現価に相当する額をいう。

  ③ 特例掛金収入現価

   特例掛金額の予想額の現価に相当する額をいう。

 (19) リスク分担型企業年金掛金収入現価

  リスク分担型企業年金掛金額の予想額の現価に相当する額をいう。

 (20) 数理債務の額

  通常予測給付現価から標準掛金収入現価を控除した額をいう。

 (21) 過去勤務債務の額

  規則第46条第1項に規定される過去勤務債務の額(規則第44条に基づき、通常予測給付現価に次回の財政再計算までに発生する積立不足の予想額の現価を加算している場合には、当該予想額の現価を控除した額とする。)をいう。

 (22) 財政悪化リスク相当額

  規則第43条第1項の規定に基づき算定された通常の予測を超えて財政の安定が損なわれる危険に対応する額をいう。

 (23) リスク対応額

  規則第46条の2第1項第1号に規定するリスク対応額をいう。

 (24) 別途積立金

  規則第112条第1項に規定される別途積立金をいう。

 (25) 給付区分

  「確定給付企業年金の規約の承認及び認可の基準等について(平成14年3月29日年企発第0329003号・年運発第0329002号)」(以下「承認認可基準通知」という。)別紙1確定給付企業年金の規約の承認及び認可の基準3―2の(4)の審査要領に規定され

る、複数の給付設計を組み合わせる場合又はグループ区分ごとに異なる給付設計を行う場合において、給付設計ごとに区分したものをいう。

 (26) 移転実施事業所

  法第75条第1項の規定に基づき分割された規約型企業年金の実施事業所、法第77条第1項の規定に基づき分割された基金の実施事業所、法第79条第1項の規定に基づき他の確定給付企業年金に加入者等に係る給付の支給に関する権利義務を移転された実施事業所又は公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成25年法律第63号。以下「平成25年改正法」という。)附則第5条第1項の規定によりなおその効力を有するものとされた同法第2条の規定による改正前の確定給付企業年金法(以下「改正前確定給付企業年金法」という。)第107条第1項の規定に基づき平成25年改正法附則第3条第11号に規定する存続厚生年金基金(以下「厚生年金基金」という。)に加入者等に係る給付の支給に関する権利義務を移転された実施事業所をいう。

第3 財政計算時の特例

1 特別掛金の算定に係る原則的扱い

 (1) 財政計算に用いる資産額は、基準日における純資産額(資産の評価に数理的評価を用いている場合には数理上資産額)から別途積立金の額を控除した額とし、規則第46条第1項の規定により過去勤務債務の額を算定する場合の積立金の額には、当該資産額を用いること。なお、規則第46条第1項第1号、第2号及び第4号の方法により特別掛金を算定する場合において、基準日以降における加入者の数又は加入者の給与の額の変動を見込むことにより算定することができること。

 (2) 給付区分を設けている場合は、給付区分ごとに特別掛金を算定することができること。この場合、次の①又は②の方法により資産額を配分し、各給付区分の過去勤務債務の額を算定することにより特別掛金を算定すること。なお、過去勤務債務の額が零を下回る給付区分がある場合には、他の給付区分の過去勤務債務の額から当該下回る額を控除すること。

  ① 直前の財政検証、前回の財政計算又は当該財政計算の基準日における給付区分に係る数理債務の額の比により按分する方法。

  ② 直前の財政検証、前回の財政計算又は当該財政計算の基準日における給付区分に係る数理債務の額から当該給付区分に係る特別掛金収入現価と特例掛金収入現価の合計額(当該財政計算の基準日における額の場合は財政計算前の額とする。)を控除した額の比により按分する方法。

 (3) 前記(1)又は(2)に定めるところによらず、全部又は一部の実施事業所に係る受給権者の数理債務の額を資産額から控除し、当該数理債務の額を確定給付企業年金全体の数理債務の額から控除した上で、前記(1)又は(2)に定めるところに準じて特別掛金を算定することができること。

 (4) 前記(1)から(3)に定めるところによらず、(1)から(3)の過去勤務債務の額について、次の①から③までの方法により実施事業所ごとに配分した額に基づいて、実施事業

所ごとに特別掛金が算定できること。この場合において、同一給付区分においては、規則第46条第1項各号に規定する償却方法のうち同一の償却方法を用いることとし、後記(5)により算定される特別掛金を除き、同項第1号に規定する予定償却期間(以下「予定償却期間」という。)の完了日又は第3号に規定する一定の割合(以下「償却割合」という。)は同一のものとすること。なお、過去勤務債務の額が零を下回る実施事業所がある場合には、他の実施事業所の過去勤務債務の額から当該下回る額を控除すること。

  ① 過去勤務債務の額を直前の財政検証、前回の財政計算又は当該財政計算の基準日における加入者数、給与又は数理債務の額のいずれかの比により按分する方法

  ② 過去勤務債務の額から直前の財政検証、前回の財政計算又は当該財政計算の基準日における特別掛金収入現価の額(当該財政計算の基準日における額の場合は財政計算前の額とする。)を控除した額について①の方法又は直前の財政検証、前回の財政計算若しくは当該財政計算の基準日における数理債務の額から特別掛金収入現価と特例掛金収入現価の合計額を控除した額の比により按分する方法のいずれかにより各実施事業所に配分した額に各実施事業所の当該特別掛金収入現価を加算した額とする方法

  ③ 法第82条の2第1項の規定に基づき積立金の一部を移換する事業主に対して、規則第96条の5第3号の規定に基づき、規約で定めるところにより、当該移換に伴い減少する積立金の額から減少する数理債務等の額を控除した額に相当する額を過去勤務債務の額として先に割り当てた上で、当該過去勤務債務の額を除く過去勤務債務の額について、①又は②により配分する方法

  ただし、前記(3)により過去勤務債務の額を算定している場合については、前記①又は②の数理債務の額から受給権者に係る額を控除すること。なお、一部の実施事業所に係る給付設計の変更に伴う財政計算を行う場合については、当該給付設計の変更に係る変更後の数理債務の額から変更前の数理債務の額を控除した額(当該額が過去勤務債務の額を上回る場合には、過去勤務債務の額とする。以下「差分額」という。ただし、当該給付設計の変更に起因する額に限る。)を②の過去勤務債務の額から控除した額について、②の方法により各実施事業所に配分し、給付設計の変更を行った実施事業所については当該差分額を配分された額に加算することができること。

 (5) 実施事業所が増加する場合は、前記(1)から(4)に定めるところによらず、当該増加に係る財政計算の基準日における当該実施事業所の過去勤務債務の額(基準日における当該事業所の数理債務の額から当該事業所の増加に伴い資産管理運用機関又は基金(以下「基金等」という。)が受換した資産を控除した額をいう。)について、当該事業所の特別掛金を算定することができること。この場合において、当該実施事業所と給付の内容が同一の集団と同じ償却方法により算定すること。ただし、予定償却期間、償却割合は別に設定できること。なお、実施事業所が増加したとしても、規則第50条に該当していない場合は、財政計算を行わず、当該実施事業所の過

去勤務債務の額に係る特別掛金のみを算定することができること。

 (6) 法第3条の規定により確定給付企業年金を実施する場合、法第74条の規定により規約型企業年金が統合する場合、法第76条により基金が合併する場合又は法第79条、第80条、第81条、改正前確定給付企業年金法第111条及び第112条の規定により権利義務の承継を行う場合(権利義務の移転を行う確定給付企業年金の実施事業所の事業主の全部又は厚生年金基金の設立事業所の事業主の全部が、権利義務の承継を行う確定給付企業年金の実施事業所の事業主の全部となる場合を除く。)又は給付区分を新たに設ける場合(当該給付区分に係る特別掛金に限る。)についても、(5)と同様の取扱いとする。

2 リスク対応掛金の算定に係る原則的扱い

 (1) 給付区分を設けている場合は、給付区分ごとにリスク対応掛金を算定することができること。この場合、前記1(2)の①又は②の方法によりリスク対応額を配分し、各給付区分のリスク対応掛金を算定すること。

 (2) 前記(1)に定めるところによらず、(1)のリスク対応額について、前記1(4)の①又は②に準じた方法により配分した額に基づいて、実施事業所ごとにリスク対応掛金が算定できること。この場合において、同一給付区分においては、規則第46条の2第1項各号に規定する拠出方法のうち同一の拠出方法を用いることとし、後記(3)により算定されるリスク対応掛金を除き、同項第1号に規定する予定拠出期間(以下「予定拠出期間」という。)の完了日又は第3号に規定する一定の割合(以下「拠出割合」という。)は同一のものとすること。

 (3) 実施事業所が増加する場合は、前記(1)又は(2)に定めるところによらず、実施事業所の増加に伴う財政悪化リスク相当額の増加額に基づいて、当該事業所のリスク対応掛金を算定することができること。この場合において、財政悪化リスク相当額の算定に係る取扱いは確定給付企業年金法施行規則第43条第1項に規定する通常の予測を超えて財政の安定が損なわれる危険に対応する額の算定方法(平成28年厚生労働省告示第412号)第3条第1項第1号ロに基づくこととし、当該事業所のリスク対応掛金は、当該実施事業所と給付の内容が同一の集団と同じ拠出方法により算定すること。ただし、予定拠出期間、拠出割合は別に設定できること。なお、実施事業所が増加したとしても、規則第50条に該当していない場合は、当該実施事業所のみに係るリスク対応掛金を算定することができること。

 (4) 法第3条の規定により確定給付企業年金を実施する場合、法第74条の規定により規約型企業年金が統合する場合、法第76条により基金が合併する場合又は法第79条、第80条、第81条、改正前確定給付企業年金法第111条及び第112条の規定により権利義務の承継を行う場合(権利義務の移転を行う確定給付企業年金の実施事業所の事業主の全部又は厚生年金基金の設立事業所の事業主の全部が、権利義務の承継を行う確定給付企業年金の実施事業所の事業主の全部となる場合を除く。)又は給付区分を新たに設ける場合(当該給付区分に係るリスク対応掛金に限る。)についても、(3)と同様の取扱いとする。

(5) 給付区分又は事業所ごとに特別掛金及びリスク対応掛金を設定する場合には、当該リスク対応掛金の予定拠出期間の残存期間は、当該特別掛金の予定償却期間の残存期間よりも長い期間でなければならないこと。

3 給付区分毎に資産を区分している場合の特例

 (1) 前記1の(1)から(3)にかかわらず、後記第4の1に規定する給付区分を設けている場合は、給付区分ごとに区分された資産額により、前記1に定めるところに準じて特別掛金を算定すること。

 (2) 前記2の(1)にかかわらず、後記第4の1に規定する給付区分を設けている場合であって、当該区分別に資産を運用している場合には、給付区分ごとに財政悪化リスク相当額を算定することによりリスク対応額を設定し、リスク対応掛金を算定すること。ただし、制度全体で資産を一括して運用している場合は、リスク対応額を給付区分ごとに区分された資産額の比により按分する方法により配分し、リスク対応掛金を算定すること。

4 後記第5に定める承継事業所償却積立金を設けている場合の特例

 (1) 後記第5に定める承継事業所償却積立金を有する実施事業所が特別掛金を拠出することとなるときは、承継事業所償却積立金又は当該実施事業所の特別掛金額のいずれか小さい額を当該実施事業所の特別掛金額から控除すること。

 (2) 後記第5に定める承継事業所償却積立金を有する実施事業所がリスク対応掛金を拠出することとなるときは、承継事業所償却積立金又は当該実施事業所のリスク対応掛金額のいずれか小さい額を当該実施事業所のリスク対応掛金額から控除すること。ただし、当該実施事業所が特別掛金及びリスク対応掛金のいずれも拠出することとなるときは、「承継事業所償却積立金又は」を「承継事業所償却積立金から当該実施事業所の特別掛金額を控除した額又は」と読み替える。

第4 給付区分別途積立金

1 給付区分別途積立金を積み立てることができる確定給付企業年金

 実施事業所共通の給付区分に加えて一部の実施事業所による上乗せの給付区分を設ける確定給付企業年金にあっては、当該給付区分ごとに経理することにより、資産を給付区分ごとに区分し、決算時に剰余が生じた場合に、当該給付区分の別途積立金として積み立てることができること。この場合において、資産を一括して運用している場合における当該事業年度の運用収益又は運用損失、運用報酬等及び業務委託費等は、それぞれ合理的な方法により法第3条に規定する規約(以下「規約」という。)で定めるところに基づき配分すること。なお、給付区分ごとに資産を管理する場合にあっては、その旨を規約に明記すること。

2 とりくずすことができる場合等

 給付区分別途積立金は、年金経理の当該給付区分に不足金が生じたため当該不足金に充当する場合のほか、財政計算を行うときに前記第3の1に定める資産額に繰り入れる場合にとりくずすことができること。

3 新たに給付区分ごとに資産を管理する場合等

次の(1)又は(2)の場合に、新たに給付区分ごとに資産を管理することができること。ただし、全部の実施事業所に共通の給付区分のみとなった場合又は共通の給付区分以外の給付区分について受給権者のみとなる場合を除き、給付区分ごとの資産区分を廃止することはできないこと。

 (1) 法第74条の規定により規約型企業年金を統合する場合又は法第76条の規定により基金を合併する場合

 (2) 共通給付区分のみの制度において、一部の実施事業所を対象として新しい給付区分を設けたとき、その他資産を給付区分ごとに区分して管理することが必要と事業主等が判断した場合

 なお、新たに給付区分ごとに資産を管理する場合の給付区分ごとの資産は、新たに給付区分ごとに資産を区分する日における資産を、次のア又はイのいずれかの方法により算定した額とすること。

 ア 直前の財政検証又は当該財政計算の基準日における数理債務の額から補足掛金収入現価を控除した額の比により按分する方法

 イ 直前の財政検証又は当該財政計算の基準日における最低積立基準額の比により按分する方法

 ただし、新たに給付区分を設け、当該給付区分に係る数理債務の額に充てるものとして基金等が資産を受換する場合については、当該受換資産を当該給付区分の資産として区分することができること。

4 積立上限額を超える場合の掛金の控除額

 規則第60条の規定により算定された確定給付企業年金全体の控除額については、同条の「積立金の額」、「法第64条第2項に規定する積立上限額」及び「控除前の掛金の額」を「給付区分ごとの積立金の額」、「給付区分ごとの法第64条第2項に規定する積立上限額」及び「給付区分ごとの控除前の掛金の額」に読み替えて給付区分ごとに算定した額が零を上回る給付区分から控除することとし、当該給付区分が複数ある場合には、当該給付区分ごとに算定した額の比により給付区分ごとに控除すること。

5 その他

 規則第44条に規定する掛金については、前記第3の3に準じて、給付区分ごとに掛金を算定し、規則第59条に規定する掛金については、同条に基づき確定給付企業年金全体で算定した額を、資産額が最低積立基準額を下回る額の比その他合理的な方法に基づき給付区分ごとに配分すること。

 また、給付区分ごとに資産を区分する場合の前記第1の(14)の資産評価調整加算(控除)額については、資産を一括して運用している場合についても、給付区分ごとに算定すること(ただし、数理的評価の方法は同一のものとする)ができること。

第5 承継事業所償却積立金

1 趣旨

 承継事業所償却積立金は、実施事業所の増加に伴い基金等が受換する資産額が増加時における当該事業所の数理債務の額とリスク対応掛金収入現価の合計額を上回る場

合に、当該事業所の積立金として積み立てる勘定科目であること。

2 承継事業所償却積立金の評価

 実施事業所に係る承継事業所償却積立金の評価額は、実施事業所の増加に伴う財政計算の基準日における当該実施事業所の増加により基金等が受換した資産額から当該事業所の数理債務の額とリスク対応掛金収入現価の合計額を控除した額(受換した資産額を上回る場合は受換した資産額とする。)について、当該基準日以降、当該確定給付企業年金の運用利回りの実績又は零以上当該確定給付企業年金の予定利率以下で規約で定める利率に基づいて、規約で定めるところにより算定される利子を加算し、後記3によりとりくずした額を控除した額により評価し、確定給付企業年金の承継事業所償却積立金はその合計額とすること。なお、第4の1により、給付区分ごとに資産を区分している場合にあっては、実施事業所の増加により基金等が受換した資産額を前記第4の3のなお書きに準じて各給付区分に配分した上で、上記により給付区分ごとに承継事業所償却積立金を評価すること。また、法第3条の規定により確定給付企業年金を実施する場合、法第74条の規定により規約型企業年金が統合する場合、法第76条により基金が合併する場合、法第79条、第80条、第81条、改正前確定給付企業年金法第111条及び第112条の規定により権利義務の承継を行う場合(権利義務の移転を行う確定給付企業年金の実施事業所の事業主の全部又は厚生年金基金の設立事業所の事業主の全部が、権利義務の承継を行う確定給付企業年金の実施事業所の事業主の全部となる場合を除く。)又は給付区分を新たに設ける場合についても、上記と同様に承継事業所償却積立金を評価することができるものとする。

3 とりくずす方法

 財政計算の結果、承継事業所償却積立金を有する実施事業所が特別掛金又はリスク対応掛金を拠出することとなるときは、第3の4(1)及び(2)により控除した額の合計額につき、承継事業所償却積立金をとりくずすこと。なお、確定給付企業年金が前記第4により給付区分ごとに資産を区分している場合にあっては、承継事業所償却積立金を有する給付区分において特別掛金又はリスク対応掛金を拠出することとなる場合について、上記に準じて承継事業所償却積立金をとりくずすこと。

4 承継事業所償却積立金を設ける場合等

 事業主等の判断により、承継事業所償却積立金を新たに設けることができること。承継事業所償却積立金を設けた確定給付企業年金は、前記1に該当する実施事業所が増加した場合には、前記2に基づき承継事業所償却積立金を積み立て、前記第3の1の(1)における財政計算に用いる資産額から、さらに承継事業所償却積立金を控除すること。また、承継事業所償却積立金を設けた場合は、当該積立金を廃止することはできないこと。なお、承継事業所償却積立金を設ける場合にあっては、その旨を規約に明記すること。

第6 リスク分担型企業年金における取扱い

1 リスク分担型企業年金にあっては、前記第3から第5までに定めるところによらず、規則第46条の3の規定によりリスク分担型企業年金掛金を算定すること。
2 リスク分担型企業年金である給付区分とリスク分担型企業年金でない給付区分を設ける確定給付企業年金にあっては、経理をそれぞれで行うとともに、資産をそれぞれに区分して運用すること。

 この場合、リスク分担型企業年金でない給付区分においては前記第3から第5までに準じて取り扱い、リスク分担型企業年金である給付区分においては前記1に準じて取り扱い、リスク分担型企業年金である給付区分をリスク分担型企業年金でない給付区分に移行する場合の資産の按分については、前記第4の3ア中「数理債務の額」を「通常予測給付現価」に、「補足掛金収入現価」を「リスク分担型企業年金掛金収入現価」に読み替えて按分する方法又は前記第4の3イの方法により行うこと。

第7 確定給付企業年金の分割等に際し移換する積立金の額の算定方法の取扱いに係る特例

1 規則第87条の2第1項第4号の厚生労働大臣が定める場合とは、次の(1)、(2)又は(3)のいずれかに該当する場合とすること。

 (1) 承継事業所償却積立金を設けている場合。

 (2) 給付区分ごとに資産を管理している場合。

 (3) (1)及び(2)に該当する場合

2 規則第87条の2第1項第4号の厚生労働大臣が定める方法とは、前記1の(1)、(2)又は(3)に応じて、次によるものとすること。

 (1)の場合((3)に該当する場合を除く。) 規則第87条の2第1項第1号及び第2号の「分割時積立金の額」を、「分割日の前日における純資産額から承継事業所償却積立金の額を控除した額」に読み替えて、移換する積立金の額を算出する方法。この場合において、移転実施事業所に係る承継事業所償却積立金の額を、移換する積立金の額に加算すること。

 (2)の場合((3)に該当する場合を除く) 規則第87条の2第1項第1号及び第2号の「分割時積立金の額」、「通常予測給付額の現価」、「数理債務の額」、「特別掛金額の予想額の現価」、「第47条に定める掛金額の予想額の現価」及び「最低積立基準額」を、「分割日の前日における給付区分に係る純資産額」、「給付区分に係る通常予測給付額の現価」、「給付区分に係る数理債務の額」、「給付区分に係る特別掛金額の予想額の現価」、「給付区分に係る第47条に定める掛金額の予想額の現価」及び「給付区分に係る最低積立基準額」に読み替えて、給付区分ごとに同条により算定された額の合計額とする方法。

 (3)の場合 承継事業所償却積立金の額が零を上回る給付区分については、規則第87条の2第1項第1号及び第2号の「分割時積立金の額」、「通常予測給付額の現価」、「数理債務の額」、「特別掛金額の予想額の現価」、「第47条に定める掛金額の予想額の現価」及び「最低積立基準額」を、「分割日の前日における給付区分に係る純資産額から当該給付区分に係る承継事業所償却積立金の額を控除した額」、「給付区分に係る通常予測給付額の現価」、「給付区分に係る数理債務の額」、「給付区分に係る特別掛金額の予想額の現価」、「給付区分に係る第47条に定める掛金額の予想額の現

価」及び「給付区分に係る最低積立基準額」に読み替えて(1)により算出した額とし、承継事業所償却積立金の額が零となる給付区分については、規則第87条の2第1項第1号及び第2号の「分割時積立金の額」、「通常予測給付額の現価」、「数理債務の額」、「特別掛金額の予想額の現価」、「第47条に定める掛金額の予想額の現価」及び「最低積立基準額」を、「分割日の前日における給付区分に係る純資産額」、「給付区分に係る通常予測給付額の現価」、「給付区分に係る数理債務の額」、「給付区分に係る特別掛金額の予想額の現価」、「給付区分に係る第47条に定める掛金額の予想額の現価」及び「給付区分に係る最低積立基準額」に読み替えて同条により算定された額とし、各給付区分の額の合計額とすること。

第8 実施事業所の減少に係る掛金の一括拠出の取扱いに係る特例

 規則第88条の2第1項第6号の厚生労働大臣が定めるところにより計算した額とする方法とは、前記第7の1の(1)、(2)又は(3)に応じて、次によるものとすること。

 (1)の場合((3)に該当する場合を除く) 同条中「積立金の額」を「純資産額から承継事業所償却積立金を控除した額」に読み替えて、同条により算定された額から減少実施事業所に係る承継事業所償却積立金の額を控除した額(当該額が零を下回る場合は零とする。)とする方法。

 (2)の場合((3)に該当する場合を除く) 同条中「特別掛金額の予想額の現価」、「積立金の額」及び「最低積立基準額」を「給付区分に係る特別掛金額の予想額の現価」、「給付区分に係る積立金の額」及び「給付区分に係る最低積立基準額」に読み替えて、同条により給付区分ごとに算定された額の合計額とする方法。

 (3)の場合 同条中「特別掛金額の予想額の現価」、「積立金の額」及び「最低積立基準額」を「給付区分に係る特別掛金額の予想額の現価」、「給付区分に係る純資産額から当該給付区分に係る承継事業所償却積立金を控除した額」及び「給付区分に係る最低積立基準額」に読み替えて、同条により給付区分ごとに算定された額の合計額から減少実施事業所に係る承継事業所償却積立金の額を控除した額(当該額が零を下回る場合は零とする。)とする方法。

第9 終了時の掛金の一括拠出の取扱いに係る特例

 規則第98条の2の厚生労働大臣が定める方法とは、前記第7の1の(1)、(2)又は(3)に応じて、次によるものとする。

 (1)の場合((3)に該当する場合を除く) 当該終了する日における純資産額から承継事業所償却積立金を控除した額が、当該終了する日を法第60条第3項に規定する事業年度の末日とみなして同項の規定に基づき算定した最低積立基準額を下回る額のうち各実施事業所に係る額から、各実施事業所に係る承継事業所償却積立金を控除した額を、各実施事業所が拠出する掛金の額とする方法。ただし、上記により算定された額が零を下回る実施事業所がある場合には、当該下回る額を他の実施事業所について算定された額に基づき配分することにより、他の実施事業所に係る掛金から当該額を控除すること。

 (2)の場合((3)に該当する場合を除く) 当該終了する日における給付区分ごとの純資産

額が、当該終了する日を法第60条第3項に規定する事業年度の末日とみなして同項の規定に基づき算定した給付区分ごとの最低積立基準額を下回る額のうち各実施事業所に係る額として給付区分ごとに算定された額の合計額を、各実施事業所が拠出する掛金の額とする方法。ただし、上記により算定された額が零を下回る実施事業所がある場合には、当該下回る額を他の実施事業所の算定された額に基づき配分することにより、他の実施事業所に係る掛金から当該額を控除すること。

 (3)の場合 各実施事業所が拠出する掛金の額は、当該終了する日における給付区分ごとの純資産額から給付区分ごとの承継事業所償却積立金を控除した額が、当該終了する日を法第60条第3項に規定する事業年度の末日とみなして同項の規定に基づき算定した給付区分ごとの最低積立基準額を下回る額のうち各実施事業所に係る額として給付区分ごとに算定された額の合計額から、各実施事業所に係る承継事業所償却積立金を控除した額を、各実施事業所が拠出する掛金の額とする方法。ただし、上記により算定された額が零を下回る実施事業所がある場合には、当該下回る額を他の実施事業所の算定された額に基づき配分することにより、他の実施事業所に係る掛金から当該額を控除すること。

第10 その他

 事業主等は、規約において、法第75条の規定に基づき規約型企業年金を分割する場合の積立金の分割、法第77条の規定に基づき基金を分割する場合の積立金の分割又は法第79条第3項若しくは改正前確定給付企業年金法第107条第4項の規定に基づき権利義務の移転を行う場合に移換する積立金の額に関する事項を定めなければならない。